離床とは
離床とは、ベッドから離れて過ごすことをいいます。
全身状態が良いのにむやみにベッド安静にしたりすることは、
不要な関節のかたさを作ったり、
起立性低血圧(ベッドから起きたり立ったりすると、
脳貧血を起こして意識がぼーっとしたり倒れてしまう)を
招く原因になったりします。
また同じ部位にずっと圧が加わるため、床ずれ(褥瘡)を
起こしたりすることもあります。
ずっと、姿勢を変えずに2~3時間ほど寝てみるとわかります。
同じ部位に圧がずっと加わっていると、血行障害を起こし
皮膚がぴりぴりと痛くなったり痒みを起こしたりします。
人間は寝ている間も自分で何度も寝返りを打って圧を分散させるものです。
ところがそれは寝返りが自分で打てる人の話であって、
それが自分では難しい場合は人の手を借りなくてはなりません。
もちろん、脳卒中を起こしていたりして全身状態が安定していないときは
ベッドから起こすことはかなり注意が必要です。姿勢を変えるたびに
血圧測定をしたりモニターにて様子を見たりしなくてはなりません。
しかし全身状態に問題がない場合は早期に離床(ベッドから離れて過ごす)
すべきです。
早期離床の効果
早期離床、つまり寝ている時間をできるだけ短くしてできる限り早く
ベッドから離れて運動することは、さまざまな効果を生み出します。
廃用症候群(寝ている時間が長いために起こる、関節拘縮や
筋力低下、生活能力の低下)の予防や深部静脈血栓症(血栓ができて、
その血栓がとれてそのまま血液の流れに乗ってしまうと
別の場所の血管につまったりして危険です)の予防、
生活範囲の拡大のはじまりの意味合いもあります。
脳卒中が起きて全身状態が比較的安定してきた場合、
ベッドの頭部側を起こしたり、起き上がって床に足底部を着いて
「座る」練習や立つ練習が必要になってきます。
自分の力で立つ練習が様々な理由で難しい場合は、ティルトテーブルといって
起立台に体を固定して、機械で角度をつけてどんどん起こしていく、
という手法をとることもあります。
それくらい、重力に抗して起きたり立ったりするのは重要なことです。
↑ティルトテーブルとはこんなものです。
こういう練習は、たくさんの量が必要です。急に筋力トレーニングをしたり
歩いたりして高負荷をかけるよりも、
できる限り全身状態にリスクを負わない範囲で
低負荷、高頻度で可能な運動を行わなければいけません。
麻痺側の運動だけでなく、非麻痺側を軸として座ったり立ったりなどの
行動する基盤を作るのもとても大切です。
筋力は使わないでいると、どんどん筋肉量が減っていきます。
関節は動かさないと、すぐに固くなります。その周囲の筋肉も、
伸ばされる機会がないと短くなっていって、
いざ動かそうと思ったときには手遅れといったこともあります。
寝ている状態から早期に起き上がり、座り、立つ、ということはとっても
大事なのです。
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