こんにちは。作業療法士のお茶々です。
今回は、「6歳の箸の持ち方」というタイトルで
話を進めていきます。
6歳の箸の持ち方
6歳といえば、小学校1年生になるころの年齢ですね。
箸の練習も進んでいる子供も多いかとは思いますが、
結論から言うと6歳では箸操作というのはまだまだ未完成の段階です。
少し解説に入っていきます。
子どもの箸の持ち方
子供の箸の持ち方・動かし方を見ていると
様々なパターンが見受けられます。
たとえば、こんな風にして箸をクロス(交差)させて
握ったり。(これは中央部で交差していますが、
クロスする部分も子供により様々)
あるいは、こんな風にして5本指すべてをつかって
総握りしたり(にぎり箸ともいいますね)。
この握り箸から徐々にクロス箸、に扱い方が発達していき、
最終的に標準的な箸の使い方に発展していきます。
あまりクロス箸から総握りに握り方が変わっていく例というのは
みられないでしょう。
意外と、大人になってもこういう握りかたになっている
人も見受けられます。
すなわち、伝統的な箸の持ち方ではないパターンになって
いるということですね。
大人の場合だとそれが完成形になっていることも
多いですが、しかしこれらは発達過程ではよくみられるものです。
6歳で箸が使えないのは自然なこと
とある大学の歯学・口腔衛生部がピジョングループの研究所(ピジョンというのは
妊娠・出産~子育てや高齢者の生活に沿った商品を作っているところですね、
哺乳瓶や育児グッズコーナーで良く目にするメーカーです)と協力し、
27名の3歳~6歳の幼児に対してこの箸の持ち方の研究を実施しています。
研究の内容は「幼児期の箸の扱い方」です。
結果は、クロス群(交差させる箸の持ち方)がダントツで多く
19名、
握り箸(5本指全部で握りこむ)が5名、
残り3名が交差はしないけれども中指が箸と箸の間に
入り込んでおらず、いわゆる伝統的な箸の持ち方とは
異なる・・・というものでした。
というわけで、研究対象となった27名は、まだ全員が
成人が用いる「伝統的な箸の使い方」にはなっていなかったのです。
ということは、6歳の子でも、伝統的な箸の使い方は
出来ていなかったということですね。
伝統的な箸の持ち方、というワードを
さっきから連呼していますが、
こういう形ですね。
自分の体に近いほうの箸、すなわち近箸は動かさず固定しておき、
人差し指と中指を伸ばして遠箸を開き、
また人差し指と中指を曲げて遠箸を操作して閉じる。
それが標準的な箸の動かし方です。
しかしまだ6歳くらいの年頃の子供たちというのは、
この「近箸を固定する」という動きが難しい場合が多く、
近箸が動いてしまう状態が本当によくみられます。
しかしそれは発達過程で踏む当然の段階であって、
また6歳という年齢はその発達段階の真っ最中といえます。
ですから正しい箸の持ち方ができなくてもそこまで
焦る必要というのはありません。
しつけ箸(エジソン箸)のメリットとデメリット
しつけ箸というものがあります。
エジソン箸ともいわれますね。
幼児にとってとてもつかみやすかったり扱いやすく、
最近ではにぎり箸を使って食事をとる幼児をよく見かけます。
これらエジソン箸を使うメリットとしては、
まだ箸操作の発達段階にある幼児が簡単に
箸を握って食事することができる・・・という点でしょう。
箸自体がつながっていますからズレることもありませんし、
そこは大人が使用する自助具箸であるバネ付き箸にも
通じるところがあります。
エジソン箸を使用するデメリットというのは、
「箸操作の発達を阻害する」可能性を含むというところです。
自分で試行錯誤しなくても箸が簡単に扱えるようになります。
「箸がズレたりしないから、しっかりした箸の使い方を
覚えるのでは?」という意見もあるかもしれませんが、
箸操作というのは脳の働き(目で見ながら、
神経を働かせ、手の動きを微調整する)と
手の機能で覚えるものなので、
箸の動きを感じながら自分で調整したりして
脳にフィードバックする→手の発達や箸操作の発達を促す・・・
というところにはなかなか行きつきません。
いちいち自分で開いたり、箸先を調整したりせずに
済むからですね。
そこが、エジソン箸・しつけ箸のデメリットといえます。
ですので発達の専門家などはエジソン箸を嫌う傾向にありますね。
ですが、使ったほうがいい!あるいは使わないほうがいい!
と頑なになるよりはそこは臨機応変に、使いたいときは使う・
あるいは発達障害やその他機能的に事情があり
これ以上箸操作の発達が難しい・・・というときなども
エジソン箸は大きな役割を果たします。
その他、箸操作の発達を促したいときは普通の箸を使う・
という風に分けるとよいかと思います。
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