こんにちは!総合病院に勤務している作業療法士のお茶々です!
今回のテーマは日本の「和」の象徴ともいえる「お手玉」。
リハビリテーションの場面ではよく見かけるこのお手玉、施設によっては手の治療道具であったりレクリエーションの道具であったりします。
材料も手に入りやすいので、ご家庭でも手の麻痺のリハビリや握り練習にも導入しやすいアイテムですね。
今回は、作業療法士の視点から「お手玉がリハビリテーションとしてどういう風に使えるのか・どういった効果があるのか」という点をお伝えしていきます!
お手玉の特徴
お手玉をどうやってリハビリに使うのか?というところですが、
お手玉の特徴として、
●高齢者に馴染みがある
●中の小豆や数珠が、手のひらへの刺激になる
●手作りができる(小豆をタップリいれて大きく硬くしたり、少なくしてフニャフニャにもできる)
という部分が挙げられます。
ほとんど握力がなくても握れるのがお手玉です。
ということは、逆にいえばほとんど握力がない方(握力が1kg以下〜3kg程度と弱く、エアパテなどの治療用粘土やパワーグリップなどの握力強化のグッズが合わない方)にピッタリの握力練習グッズといえるかと思います。
また、後述する「お手玉拾い」などバランス練習にも活用でき、いろんなリハビリテーションに応用できます。
お手玉リハビリの対象
どんな人に適しているか?という点ですが、具体的には、
●高齢化により、手の筋力が低くなってきた方
●手の感覚の麻痺があり、握る感覚が分かりにくい方
●バランス能力が低く、お手玉を使ったリーチ動作なら出来るかた
特に麻痺の場合、いろんな形のものに合わせて手の形を変え、握る作業というのも手・脳への刺激になります。後述する手作りお手玉にはそういった利点もあるため、お手玉の大きさを変えたり、重さを変えたり、数を少なくして少し握りにくくするのも良いでしょう。
お手玉を使った実際のリハビリ方法
お手玉を使ってどのようにリハビリをするのか見ていきましょう。
お手玉なので自宅でも簡単に行えます!
上肢機能訓練としてのお手玉リハビリテーション
まずは、手のリハビリとしてのお手玉の活用法を紹介します。
お手玉をカゴやボウル・皿に移す
まずはシンプルな方法です。
座った状態でテーブル上にお手玉を散りばめ、右側や左側・前側に置いたカゴの上にお手玉を入れるようにしましょう。
カゴやボウルが高いと、より肩の運動にもなりますが、肩を痛めている場合には注意が必要です。
またカゴとボウルの位置が遠ければ遠いほど、同様に肩の運動や肘の運動がより大きくなるため、痛めている場合には痛みを聞きながら行いましょう。
置くのはテーブルである必要はないため、肩の運動が難しい場合には少し低めの台に置いても問題ありません。
大きめのお手玉・たくさんのお手玉をカゴに移す
手の開きが弱い場合には、大きめのお手玉を用意してしっかり手を開かないと掴めないようにするか、「2個ずつ移す」「2個はもう慣れてきたから今日から3個ずつ移す」とより手を開いて掴めるように練習しましょう。
特に麻痺が起こっている場合には、手の握りよりも開きのほうが大変なことが多いです。
また、シンプルな握力強化についても「手の開き」に使ったり手をそらす方向に運動する際に使ういわゆる手の伸筋群の動きも必要になってきます。
手の力をつけたいときは、単純に握る練習だけでなく開く練習なども必要ということですね。
お手玉を指でつまんでカゴに移す
それぞれの指を動かすのもよい運動になります。
麻痺の場合、単独の指を動かそうとしても全ての指が握り開きしてしまうことも珍しくありません。
単独の指を動かすことを「分離運動」といいますが、この分離運動を阻害するのが麻痺なのです。
親指と人差し指でつまむ、親指と中指でつまむ・・・とそれぞれの指を動かすように意識しましょう。すべての指が動いてもかまいません。「出来るかぎり、親指と人差し指だけで掴む」ということを意識する、そのこと自体が脳への刺激となり麻痺の回復に繋がっていきます。
先述した「フニャフニャのお手玉」は、中身の小豆や数珠が動きやすいです。そのため、つまもうとしたのに中で小豆の位置が変わり、あと少しなのにつまみ上げられない・・・といったこともあります。何度も失敗を繰り返すとなんとなくつまむ力や、つまむポイントなどが分かるようになってきます。
バランス訓練としてのお手玉リハビリテーション
次は、お手玉をバランス練習として使用する場合の活用方法です。
立って、テーブルの両端に置いたお手玉を手前のカゴにいれる
手の運動+立位バランスの練習、と考えてもらってよいでしょう。
右端に置いたお手玉を手前に置いたカゴに入れ、左端に置いたお手玉をまたカゴに入れ・・・と交互に繰り返していきます。
支えが無いと立ち続けるのが難しい場合は、テーブルを支えにしながら片手で運動するのもOKです。脳梗塞の方だけでなく、足の骨折後や筋力低下などで立ち続けるのが少し怖い・・・といった人の立つ練習の入口にも最適です。
後ろには必ず椅子を設置しておくようにしましょう。
床やテーブルでお手玉拾い
床に散りばめ、それを拾ってもらいビニール袋などに集めていく練習をして立位バランスの訓練、または家事動作の練習(掃除動作練習の一環として)として活用できます。
ある程度バランスが保てる方でないとバランスを崩しやすいので注意しましょう。
床から拾うとバランスを崩してしまって不安、という場合はまず広めのテーブルの上にバラバラに配置してテーブルを支えにして横歩きしながら拾ってもらう、あるいはテーブル・椅子など部屋のあちこちに配置する、といった練習もいいでしょう。
くれぐれも誰かそばにいるときに行うなど、転倒に注意しながら行うことが必要です。
お手玉を使ったレクリエーション
次に、お手玉を使ったレクリエーションの紹介です!
お手玉くずし
テーブルの上にお手玉を40個〜50個ほど大量に山のように積み上げ、真ん中に「菜箸」を差します。
順番にお手玉を取っていくと支えがなくなり菜箸がどんどん傾いてきます。菜箸の上の部分がテーブルに着いた人の負け!というルールです。
お手玉が100個ほどあるのであれば、2チーム戦(テーブルに2つ山を積み重ねる)にして両方のチームで同じタイミングでお手玉を取ってもらい、菜箸が先に倒れたほうの負け!ということもできます。
レクリエーションだけでなく、集団療法やセラピストの個人療法でも活用できるゲームです。
使う菜箸はなんでもよいですが、菜箸の上の部分の色が変わっているものがよいでしょう。「この赤い部分がテーブルについたら負けです!」と伝えると分かりやすいです。
とってもカンタン!お手玉を手作りする方法
今回はカンタンに作りやすい俵型のお手玉を作ってみましょう!
スタッフで一緒に作るもよし、手先の器用な施設利用者さんに手伝ってもらうもよし、使ってもらうご本人さんと家族で作るのもいいかもしれませんね。
まず、必要な材料は以下のとおりです。
●小豆や数珠玉・ペレットなど
●裁縫道具(針と糸さえあればOK、チャコペンがあればチャコペン)
↓布は、Amazonで購入される場合は和柄の布で20cm×25cmのものが最適です。
(これで小さいお手玉が6個作れます)
大きめのものを作る場合には、4分割にするかもっと広めのサイズの布を探しましょう。
ホームセンターなどでも購入できます。
レクリエーションなどでグループごとなど大量に使う場合には色分けしたほうがよさそうです!
↓完成品もあり、こちらは昔ながらの和柄のお手玉です。20個セットもあります
↓小豆の代わりにも使える手芸ペレット。小豆などだと虫が気になる・・・といった場合にはオススメです。
↓こちらは小豆です。小口切りのトウガラシなどを一緒に入れたり、定期的に日干しするなど乾燥させるように気を付けておくと虫を防げます!
手順1:布を切る
布を6分割します。厳密にサイズを測らなくても適当でOK!
手順2:1㎝幅のところで線を引く
チャコペンがあれば、縫う場所の目印となる線を引きます。なくてもOKです!
手順3:折りたたんで側面を縫う
布を2つ折りして、側面の線を縫います(上のほうはある程度のところで止めます)
手順4:底を縫って絞る
底面を縫ったら、そのまま糸を引っ張って絞り、玉止めします。
手順5:ひっくり返して小豆や数珠・ペレット剤を入れる
ペレットを中に入れます!入れすぎると、上が絞りにくくなるので2/3くらいの量を入れるのがちょうど良いです!
手順6:上を縫って絞る
布を中に入れ込んだら上の部分をざく縫いして、最後しぼって玉止めして完成です!
出ている糸の処理は、適当に上から針を布の中に刺し、別の所から出して糸を切ってしまいましょう。糸が中に入り込んで隠れます。
コメント